鶏肉の各部位と特徴について
鶏肉は、牛肉や豚肉と比べて部位も少なく、スーパーなどでもほとんどの部位を売っていますし、価格もお手頃で、どんな食材とも合わせやすく使いやすいお肉です。
それぞれの部位の特徴を活かすことでよりおいしく料理ができます。
肉の部位と特徴
- せせりー首の部分のお肉で、よく動かす部分なので
身がしまっていて歯ごたえがあり旨味の多い部位です。
一羽からわずかしか取れない希少部位なので価格は他の部位より少々高めです。 - ムネ肉ー胸の部分のお肉で、脂肪が少なくあっさりした味わいです。
タンパク質が多く肉質が柔らかいのが特徴です。
色々な料理に使いやすいです。 - ササミームネ肉の一部で、胸骨に沿ってついている部分です。
鶏肉の部位の中で最もタンパク質が多い部位です。
柔らかくて脂肪が少なく淡白な味わいです。
笹の葉に形が似ているのでササミと名付けられました。 - モモ肉ー足の付け根の部分です。比較的脂肪も多く、
旨味とコクがあり歯ごたえもあります。一般的によく食べられている部位です。
私も一番利用している部位です。焼いても煮てもおいしく食べられます。
唐揚げによく使われる部位です。
骨付きで利用される事もあります。私の働いているお店では、
普段は骨付きのモモ肉は販売してませんが、
秋口になると鍋物用にぶつ切りして販売し始めたり、
クリスマス近くになると骨付きモモ肉の販売が始まります。 - 手羽先ー羽の先端のとがった部分で、肉は少ないです。
ゼラチン質と脂肪が多いのが特徴です。唐揚げや煮込み料理に使ったり、
スープのダシとして使われます。 - 手羽中-手羽先の先端部分を取り除いた部位です。
よく運動する部分なので肉質は引き締まっていて旨味が多いです。
私の働いているお店では、手羽中を縦半分に切り分けて
鶏スペアリブとして販売しています。
- 手羽元-羽の根元の部分です。
胸肉に近い部分なので手羽先に比べて肉が多くついています。
脂肪が少なく柔らかくて、コクのある味わいが特徴です。
唐揚げや、ダシが良く出るので煮込み料理などに適しています。 - 皮ー鶏の皮膚の部分です。コラーゲンが豊富ですが、脂肪分も多いです。
味も濃厚で旨味が強いのが特徴です。炒め物や煮物などで料理にコクを出します。
よく焼くとパリッとした食感になりおいしいです。
鶏肉の内臓の部位と特徴について
- ハツ(心臓)-筋肉が発達しているため、プリプリとした
弾力のある独特の食感が特徴です。 - レバー(肝臓)-ビタミン類や鉄分が豊富で栄養価が高いです。
ねっとりとした食感と濃厚な味わいが特徴です。
牛のレバーよりクセがなく食べやすいです。焼いても煮てもおいしいです。 - 砂肝ー砂刷りともいいます。胃の筋肉の部位で、胃が発達している鶏特有の部位です。
独特のコリコリとした食感が特徴です。 - ヤゲン軟骨ームネ肉にある軟骨です。骨の関節部の比較的柔らかい部位です。
コリコリした食感が特徴です。 - ヒザ軟骨ーモモ肉の膝の部分の軟骨です。
味の特徴はなく、コリコリした食感が特徴です。 - ボンジリ—鶏の尻尾に当たる部分の肉で、わずかしか取れない希少部位です。
筋肉が発達しているので旨味が強く、脂ものっています。
私の働いてるお店では、内臓は、砂肝、ヒザ軟骨、レバー、ハツ、ハツモトの5種類を販売しています。ハツモトは、働き始めて初めて知りました。
ひよりさん。
この袋のレバーの処理をお願いします。
レバーとハツとハツモトに分けて出して下さい。
はい、わかりました。
ハツモト初めて聞きましたが・・・・
ハツモトってなんでしょうか?
レバーとハツは、くっついていて、まず、ザルに入れてサッと水洗いします。
レバーの部分を手でやさしく取り外します。ここはレバーとして出します。
全部まとめて、ハツとして販売しているお店や、ハツモトの部分を捨ててしまっているお店もありますが、少ししか取れない希少な部位で栄養も豊富ですよ。
鶏肉の栄養とカロリーについて
鶏肉の栄養素と聞かれたらタンパク質が一番に思い浮かびます。
特に、ササミや鶏ムネ肉は、高タンパク、低カロリーで、ダイエットをしている人や、
筋肉トレーニングをしている人、アスリートなどが好んで食べているイメージですが、
そもそもタンパク質とは?
タンパク質とは、20種類のアミノ酸の組み合わせによって、それぞれの目的に合わせて、
約10万種類のタンパク質に形を変えます。
私達の筋肉や臓器、血液、骨、皮膚、髪などの主成分はタンパク質で、
筋肉や臓器などをきちんと働かせるために必要な酵素やホルモンもタンパク質からできています。
私達の体の基本となる成分はタンパク質でできていて、
健康な体づくりに欠かせないのがタンパク質です。
20種類のアミノ酸の内9種類は体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
これを必須アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、
トレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン)といいます。
タンパク質には、動物性タンパク質(肉、魚、魚介類、卵、乳製品など)と
植物性タンパク質(米、小麦、大豆など)がありますが、
動物性タンパク質は、多くのものが9種類の必須アミノ酸を含んでいますが、
植物性タンパク質には一部不足しているものもあり、
吸収率も動物性タンパク質の方が高いです。
タンパク質が不足すると、
肌や髪や爪のトラブル、筋肉量の減少、
集中力や思考力の低下、老化、免疫力の低下などさまざまなトラブルが起こってきます。
鶏肉に含まれるタンパク質の量と脂質、カロリーを調べてみました。(100g当たり)
- 皮つきモモ肉(若どり、生)ータンパク質16.6g、脂質14.2g、カロリー190kcal
- 皮なしモモ肉(若どり、生)ータンパク質19.0g、脂質5g、カロリー113kcal
- ササミ(若どり、生)ータンパク質23.9g、脂質0.8g、カロリー98kcal
- 皮つきムネ肉(若どり、生)ータンパク質21.3g、脂質5.9g、カロリー133kcal
- 皮なしムネ肉(若どり、生)ータンパク質23.3g、脂質1.9g、カロリー10.5kcal
- 皮つき手羽(若どり、生)ータンパク質17.8g、脂質14.3g、カロリー189kcal
- ハツ(心臓)ータンパク質14.5g、脂質15.5g、カロリー186kcal
- レバー(肝臓)ータンパク質18.9g、脂質3.1g、カロリー100kcal
- スナギモ(砂肝)ータンパク質13.8g、脂質1.8g、カロリー86kcal
出典:日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
モモ肉とムネ肉は、皮なしの方が脂質やカロリーは低くなって、
タンパク質は多くなるんですね。
うちのお店では、ムネ肉は、皮なしも販売していていますが人気ですね。
私は、前まで、ムネ肉使うときは、皮はいで、もったいないな~と思いながらも捨ててしまうこともあったので、皮なしムネ肉があると助かります。
カロリー制限している時は、皮なしの方がいいですが、
鶏皮は、カロリーは高いですが、
コラーゲンも豊富なので、捨てるのはもったいないですね。
皮を使わない料理の時は、皮は冷凍保存しておいて、ある程度の量になったら、パリパリに焼いて塩で食べたり、焼き鳥にしたり、唐揚げにしたり、
もつの代わりに鶏皮を使ってもつ鍋風にしたりといろいろ利用できますよ。
そうなんですね!今までもったいないことしてました~
そういえば、鶏皮をたくさん買っていくお客さまが時々いますが
なんに使うんだろうな~と思ってました。
鶏皮もいろいろいろいろ使えるんですね。
鶏の部位別オススメ調理方法
- モモ肉ー赤身で鉄分が多くコクのあるモモ肉は、唐揚げ、煮物、照り焼き、
皮をパリッと焼いたチキンステーキがオススメです。
皮と身の間にある黄色っぽい脂は、包丁の刃先で取ります。
- ムネ肉ー淡白であっさりしているムネ肉は、ゆでたり蒸して、棒棒鶏やサラダチキンにしたり、チキンカツやチキン南蛮、チキンピカタなどがオススメです。
ムネ肉は火を通しすぎるとパサパサになるので加熱しすぎに注意します。調理の30分以上前には冷蔵庫からだして常温に戻して、加熱ムラをができないように厚さを均一(観音開き)にすることが美味しく食べるポイントです。 - 手羽先ー骨付きなので肉は少なめですがおいしいダシがでます。
煮物や焼き物、揚げ物がオススメです。甘辛いたれを絡めた手羽唐揚げおいしいです。
骨に沿って包丁で切り込みを入れると火の通りがよくなります。
- 手羽中ータレに付け込んで焼いたり、唐揚げにしたり、じっくり煮込むスープにおススメです。手羽中の骨を一本抜いてチューリップという唐揚げが作れます。
- 手羽元ー肉質は柔らかでコクがあるので、煮込み料理やスープ、揚げ物がオススメです。
- ササミー脂肪は少なく食感はやわらかです。ゆでてサラダや和え物にたり、
天ぷらやササミカツがオススメです。
ササミは白いスジがあるので筋を取るのが美味しく食べるコツです。筋に垂直に包丁の先をあてて(筋の上下)に切り込みをいれ、筋の先を手で持って包丁で筋をしごくようにして筋を取ります。 - せせりー脂が多く濃厚でジューシーな希少部位のせせりは、焼いて食べるのがオススメです。唐揚げにしたり、鍋や煮込み料理などでもおいしいです。
- ハツー脂肪の部分が付いていたら包丁でそぎ取り、縦半分に切って、包丁の先で血のかたまりをかきだして洗います。冷水につけて、血抜きをします。焼き鳥や炒め物がオススメです。
- レバー-鶏のレバーはそれほど、臭みが気にならないので、流水で洗うか、気になるようなら冷水に30分くらい付けてから調理します。焼き鳥にしたり、生姜のしぐれ煮がオススメです。
- スナギモー砂肝は、1個が青白い銀色の部分で2つつながった状態になっています。下ごしらえするときは、この部分が固くて食べづらいので取り除いて使用します。焼き鳥にしたり、煮物、炒め物がオススメです。白い部分には、コラーゲンがたっぷりふくまれています。酢を使った料理や圧力鍋を使うと、下処理なしでも柔らかく仕上がるようです。
まとめ
- 鶏肉は、牛肉や豚肉より価格が安く、いろいろな食材とも合わせやすく使いやすいお肉です。
- 鶏肉の部位は大きく、モモ肉、ムネ肉、手羽、ササミ、内臓の5つに分けられ、そろぞれの特徴を活かすことでよりおいしく食べることができます。
- 鶏肉は、私達の健康に欠かせないタンパク質を豊富に含んでいます。
- ササミや鶏ムネ肉は、高タンパク、低カロリーでダイエットにオススメです。
- 鶏レバーは、牛や豚のレバーより臭みが少なく食べやすく、鉄分も豊富で栄養価が高い。
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